STAGE 参加団体の芝居を知る

芸を、粋を、受け継ぐということ

文学座有志による久保田万太郎作品/鈴木亜希子、生田みゆき
劇団紹介:文学座の創立メンバーである久保田万太郎の作品を、同劇団の有志によって上演する自主企画公演。今回は、ベテランの演出家と俳優、そして若手演出家と俳優という、組み合わせの妙で魅せる。
 
 

まずはこのお写真を見ていただきたい。

 

 

一九六八年、宮本研・作、木村光一・演出、文学座で初演された『美しきものの伝説』。
このお二人、菅野菜保之と吉野由志子が、今回の万太郎の世界で、久しぶりに夫婦共演となる。なんと贅沢な!
「私にとっても、これ以上の話題はないだろう!と思うくらいの企画です」と、立案者でもある文学座の鈴木亜希子。
彼女は三社祭総代・鈴木秋雄(102歳)を祖父に持つ、祭をこよなく愛する下町生まれ。
台東区が生んだ劇作家、久保田万太郎の作品を、折に触れ、したまち演劇祭に紹介してくれている。
万太郎作品には、下町の粋があり、人情があり、日本語の美しさが根付いている…というが、
「あの言葉を自分の身体に入れて、セリフとして発するまでに、相当時間がかかるわけですよ。
若手は特に、普段言いなれない言葉で、演出家に『違う違う』と言われて泣くのを堪えて…(笑)」という難しさは想像に難くない。
その鈴木が「初めて由志子さんの「夜長」を見たとき『どうしてここに浅草のおかみさんがいるんだ』って。
それくらい衝撃で。だから私が企画するときには絶対にやってもらいたいと思っていて」その思いが叶った。
「私は石川県の出身だからね、江戸の人とかそういうの全然わかってないの」と謙遜する吉野。
「でもね、私はやっぱり映画なの。そして、先輩方の演技を見て教わったの。
とにかく集中して見て、この瞬間にこの所作をやるのかってね」この先輩から後輩へ芸を受け継ぐという、
それが古くから続く劇団の一つの良さなのかもしれない。
「所作一つ、演技一つに理由があるじゃないですか。なんでここでお酒を飲むのかって、
それがわからない」と聞く鈴木に菅野が答える。「理由がわからないから飲んじゃう。
『いや、この心情じゃ飲めないだろう』っていう芝居もあるんだけど」
菅野は、その後文学座を離れるが、文学座入座の頃、久保田万太郎は劇団の幹部だった。
「話なんかできなかったよね、俺は。気楽に話してるやつ見て『いい度胸してやがる』って思ってた」
そうだ。文士劇に出たら名俳優だったという万太郎。
「本読みをね、先生がするんだけど、あんまり上手すぎちゃって、役者が駄目になっちゃうんだって。
あれ、役者より上手いっていうのはダメですよ(笑)」劇団を超えて、俳優同志の密な舞台。
一方で楽しみなのは、新進演出家生田みゆきが挑む、久保田万太郎作品の王道とも言える「あしかび」。
「昔も今も人が集まる町、浅草。人も町も変わっていくが、万太郎の言葉に耳を傾けることでかつて暮らしていた人々が顔を出す。
それはきっと、今も浅草のどこかに潜む面影なのです」と生田。
新旧そろい踏み、だ。「浅草ならではの久保田万太郎をお見せしますよ」新春は浅草で日本の粋を。

 

text by 文学座有志による久保田万太郎作品
文学座有志による久保田万太郎作品 久保田万太郎作「夜長」「あしかび」より
日時1.26(金)14:00/19:00
1.27(土)13:00/17:00
1.28(日)11:00/15:00
1.29(月)14:00
※開場は開演の30分前
※受付は開演の45分前
開催場所浅草見番
文学座創立メンバーの一人、久保田万太郎の作品を文学座有志により浅草見番にて上演致します。浅草生まれの久保田万太郎が描く大正・昭和の古き良き下町の風景、市井人の心情の機微を今にも伝え続けていきたい・・そんな思いを込めた文学座メンバーの芝居を是非ご覧ください。特別に菅野菜保之さんをゲストにお迎えしての見番公演、必見です。
見番ならではのアフターイベントもございます。お楽しみに!

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