鬼平の十手が響きエノケンロッパの笑い声に包まれる浅草はスターの似合う町だ
Q.問題。これは明治19年の浅草寺の様子だが、今と違うところが3か所ある。さてどこ?
▲東京浅草観世音並二公園地煉瓦屋新築繁盛新地遠景之圖
本堂に向かって右側五重塔に注目!(資料提供:東京都江戸東京博物館)
A.答えは、雷門がないこと。仲見世が煉瓦造りであること。
そして、五重塔が観音堂の右にあることの3つ。
▲浅草寺境内旧五重塔跡
これが証拠の五重塔跡。昭和20年の空襲で焼けてしまい再建された際に今の場所へ。
仲見世は、江戸時代参拝客への水茶屋が並び玩具やお土産などを売っていたのだが、
明治維新で浅草寺境内が東京府の管轄になり煉瓦作りの洋風な商店街に生まれ変わったそう。
「♪雷門は名のみにて 仲見世とをれば仁王門(東京電車唱歌・明治39年)」と歌われた時代を経て、
この雷門と提灯を寄進したのは、松下電器の松下幸之助。
提灯には、社名だけ刻んであるのでご確認を。
▲雷門の提灯を下からみる
昨年、門の塗り替え・改修工事もされてさっぱりと美しくなった雷門。
大提灯も10年に一度架け替えられるそう。
先ほどの唱歌には続きがあって
「♪浅草寺の観世音 参拝するもの絶間なく公園見せものにぎはしく 墨田の花見も川ひらく」
この頃の六区に賑わいがうかがえる。
▲六区通りを飾る看板
こちらは日本の喜劇王エノケンこと榎本健一。
反対側に回ると「エノケンロッパ」と並び称された古川ロッパが。
どんな人たちが活躍していたのかは、浅草公会堂脇のスターの広場や、
六区通りに飾られた33名+1名の芸能人の写真で見ることができる。
+1名は「予約済み」の看板。
東洋館で修行していたビートたけしが予約しているという粋な話だ。
▲スターの広場
浅草ゆかりの俳優、落語家、歌手、芸能人らの原寸手形とサインがずらり並ぶ。
手を合わせてみるとスターと握手気分。
時代を遡って、江戸のスター「火付盗賊改、長谷川平蔵」も忘れずに。
火付盗賊改とはいわば特別警察で、犯人を捕まえる権限を持っていた。
長谷川平蔵は実在の人で石川島人足寄場を作ったと聞くとリアルだ。
鬼平が江戸でどんな活躍をしたかは、ぜひ池波正太郎記念文庫で確かめて。
▲池波正太郎記念文庫
「鬼平」が活躍した江戸の様子や、池波正太郎の描いた絵や原稿が展示されている。
再現された書斎は意外にも椅子に机の洋風。